腰痛(非特異的腰痛)のときも、安静にした方がいいの?

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腰痛(非特異的腰痛)のときも、安静にした方がいいの?

日本では、痛みがあると”まず、安静”となります。

世界では、腰痛があってもできるだけ生活や仕事を続けます。安静は最小限にするべきとの考え方です。

もちろん、原因がはっきりしない「非特異的腰痛」の場合ですよ。

興味深い研究報告(Buchbinder R,BMJ.7;328(7435):321.2004.)があります。


1997年、オーストラリア(ビクトリア州)での取組の成果ですが、テレビCM等を使って、腰痛があってもできるだけ生活や仕事を続けるよう、安静は最小限にすべきだと放送による取組を行った結果、ビクトリア州では他の州に比べて身体活動に対する恐怖回避志向が改善され、傷害保険請求(医療費)の減少につながったようです。これには、住民の腰痛は安静が必要という意識変化がおおきなポイントとなっています。日本においても、腰痛ガイドライン(標準医療の指針)で、腰に痛みを感じてもできるだけベッド安静をせず、早期から徐々に活動することを推奨しています。

もちろん、腰痛の原因が明確な「特異的腰痛」の場合は、痛くても無理に運動すると却って症状を悪化させる恐れがありますので、当然、安静や医師の指示時に従う事が大切です。

しかし、この特異的腰痛の場合であっても、過剰な安静や痛みに対する不安が強すぎると、腰痛が持続し、慢性腰痛症へと移行しますので、適切な運動は必要になってきます。

これは、”痛みの悪循環”といわれるものです。

「安静第一だ」「腰が悪いのだから動いたらよけいひどくなる」と、誤った情報を思い込んでしまうことで、痛みに対する不安や不安による過度な安静をとってしまいます。すると、特に明らかな原因が無い場合やある程度病気が治って運動をしなければならない場合、過度な安静による身体機能や脳機能の不具合が起こります。身体機能の不具合としては、筋肉が弱くなってしまいます。また、脳機能の不具合としては、脳が痛いと誤記憶することにより細胞が変形して元に戻らなくなってしまい、体は治っているにもかかわらず、脳がまだ治っていない、痛いんだと間違った情報を発信してしまうのです。すると再発や慢性化の状態となり、更に誤った思い込みをしてしまい、より痛みに対して過剰な反応をとってしまう事になるのです。

脳の細胞が変形してしまうと、腰痛の治療ではなく、脳にたいして腰はある程度動かしても大丈夫だという事を、少しずつ学習させて治療することになります。

思い込みとは体だけでなく、脳にも影響するのですね。

実際、脳をだましてリハビリを行う治療法の一つにミラーセラピーといわれるものがあります。脳血管障害等で動かなくなった肢を対側の動いている自分の肢を鏡を使って動かない肢が動いているように写して、脳をだますことで麻痺肢の機能の回復を図ります。面白いですね。でも、実際に効果を挙げていますので馬鹿にはできません。

身近なところでは、催眠術で苦手なものを食べたり、体が鉄の棒になるなどの暗示により、できなかったことができるように脳をだますことをテレビで見たりしていますよね。

できないと思い込んでいたことでも、できると思い込むことで意外とできたり、逆に日頃できるのに緊張からか失敗のイメージが強くなって本当に失敗したりといったことは誰にでも経験があることでしょう。

この様に簡単に解決すればいいでのですが、ヒトの思い込みはその強さにより、そのことを信じて疑わなかったりするとなかなか他者からの意見は耳に届かず、修正は難しいですね。

研究とともに修正された正しい情報により、自身の身体機能と脳機能を過剰なストレスから解放してあげましょう。


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TAO

悠々自適な経済的自由人に憧れながらも、人として何ができるか模索の毎日です。修士課程で複雑系システムに魅了され頑張らない人生が理想です。

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