腰の痛みの種類
原因のはっきりしている「特異的腰痛」腰痛症でレントゲン写真やCT画像で原因部位が明確な腰痛のこと。
例:脊椎圧迫骨折、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腫瘍、感染 など
原因がはっきりしない「非特異的腰痛」
画像所見で原因部位がはっきりしない腰痛のこと
例:ギックリ腰、診断のつかない腰痛症) など
高齢労働省の国民生活基礎調査で、日本国民の80%の方が、一生に一度は”腰の痛み”を経験しているそうです。
これは、男性でも女性でも非常に上位で、次に肩こりが続きます。
腰痛と肩コリで男女ともに1位と2位を占めているのです。そのあとは、咳や痰がでる、手足の関節の痛み、体のだるさなどが挙げられています。
非常に多くの方が、腰痛や肩こりに悩まされていることが窺(うかが)えます。
腰痛が起こると、皆さんはどうしていますか?
大半の方が、自然に治るだろうと、放置している事でしょう。
レントゲンやCTなどの画像で腰痛の原因が特定できるのは、50%とも20%※1とも言われています。
※1:50%と20%は大きく異なりますよね。これは、分母がはっきりしないためこの様なばらつきになるようです。
腰痛のあった方、全てを対象とした場合、この中には病院に行った人も、整骨院に行った人も、自宅で我慢した人も含んでしまいます。一方で、病院を受診しレントゲンやMRI等の画像をとった上で原因が特定できない場合は、前記の母数に比べ非常に少なく、限定しているため病院を受ける必要があると判断した人の中でとなるのでそのうちの50%の確率で原因がはっきりしないことは非常に高いといえます。
逆に病院に行っても、はっきりした原因が分からないけど、年もとってるし、「加齢から来る変形性の腰椎症でしょう」といわれた方もいるのではないでしょうか。
この様に、腰痛があるからといって、原因があるとは限らないのです。実に50%~80%の方は腰痛の原因が分からないのです。この様に原因のはっきりしない、”いわゆる腰痛”のことを「非特異的腰痛」といっています。
だから、放置していても自然に治ることが多いのですね。
しかも、非特異的腰痛の場合、痛みに対する過剰な不安や安静はかえって腰痛を長期化させ、再発の原因になるといわれていますので、放置するぐらい、大らかに構えられる事はいいことなのかもしれません。
この場合、問題となるのは原因が明確な「特異的腰痛」の場合です。
明らかな原因があるにもかかわらず、病院に行くのが遅れ、自然治癒を待っていたり、痛みがあるのに無理して仕事をしたり、中には整骨院などで治そうとしている場合です。
脊椎の圧迫骨折の場合、骨折後の1~2週間の安静により、椎体の更なる圧潰(背骨の骨が潰れてしまう事)や骨硬化(治癒のため骨が固まろうとすること)の遅延(遅れ)が生じたり、偽関節(本来関節でない所に偽の関節ができてしまう事)をつくってしまうことになります。
骨に問題があるかどうか、レントゲンやMRIで確認することは、その後の治療経過を左右するので、まずは病院できちんと診察を受けることをお勧めします。