看護師の腰痛労災

08. 👨‍🔬 産業理学療法士

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看護師の腰痛労災

「看護師をしている友達が腰痛で仕事を辞めようかって思っているそうなんだけど・・・。」
「看護師としてのやりがいについて熱く語ってたのに、大丈夫かな?」

HANA
TAO

「看護師の腰痛は実は非常に多いんですよ。しかも、職場で当たり前になってしまっているところもあるようです。」
「だからって、離職につながるのはただ事じゃないね。」

この、「看護師の腰痛労災」では、看護師の多くを悩ませている「腰痛」について、発生の割合や原因、厚生労働省としての取り組みについて考えます。

看護師の6~7割は腰痛を抱えている

看護師の6~7割は腰痛を抱えている

保健衛生業での業務上疾病全体の8割は「腰痛」

腰痛はさまざまな業種や作業においてみられます。

これを読まれている方の中にも、腰痛をお持ちの方がいらっしゃることでしょう。

全国で業務上の疾病のなんと約6割を占めています。

中でも、社会福祉施設や医療保健業など保健衛生業は、比較的、腰痛の発生が多く、業務上疾病全体の約8割を占めていると報告されています。

実際、看護師さんの5~7割は腰痛があるという調査結果もあるようです。

「腰痛は職業病だから・・・」

「腰痛は職業病だから・・・」

では、なぜ社会福祉施設や医療保険業などの保健衛生業は、腰痛の発生が多いのでしょうか。

実は、看護師さんたちは、検温や血圧を測るだけでなく、動けない患者さんの身体の向きを定期的に変えたり、レントゲンや患者さんのリハビリのために起こしたり、座らせたり、車椅子に移したりと結構体力を使っているのです。

しかも、患者さんが無理をしないように、看護師さん自身が無理な体勢で行うため、腰や肩などに無理なストレスがかかり、痛みを引き起こしているのです。

しかし看護師さんたちは、「患者さんの生命にかかわる仕事」という意識が強く、「腰痛は職業病だから」と考える傾向があり、無理をして腰痛があっても休まずに仕事に出る傾向があります。

そのため、職場の看護師に相談しても、「私も」となり、我慢するのが当たり前と考えてしまったり、腰痛ぐらいで休めない雰囲気になったりと大変な思いをしていることも多いようです。

あの笑顔の裏には、大変な苦労があるのですね。
表にみせず優しく微笑む様(さま)は、まさに「白衣の天使」です。

なので、尚更腰痛を悪化させてしまうことになります。これが問題です。

労災申請しないという回答者が8割を占める

労災申請しないという回答者が8割を占める

看護職の腰痛に関する調査によると、腰痛があっても労災申請をしないと回答した人が8割を占めています。

その理由に、
 ①申請していない看護職の6割が、腰痛で労災申請できるという認識がないと回答しています。
日本医療総合研究所、急性期一般病院における看護職員の腰痛・頸肩腕痛の実態調査、2012.

保健衛生業における腰痛は、看護師さんの離職にも大きく関与しています。

看護師さんは、夜勤もあり、多くの方は家に帰ると家事や子育てが待っていて、中には自身の両親の介護もあるかもしれません。職場では生死にかかわる仕事であるため精神的にも身体的にも負担になっているのですから、さらに「腰痛」が加わると、「優しく微笑む」ことが、難しくなることは容易に想像できます。

看護師は就職に困らないと、学生時代に進路で言われたことがあります。

非常にやりがいのある仕事である反面、長く続けるのが難しい仕事の一つかもしれませんね。

だとしても、医療の場において、看護師が不足することは社会にとっても大きな問題と思います。

5~6割の看護師が経験する腰痛を予防して、わたくしたちの安心で安全な生活を医療的な側面からフォローしていただけるようにしたいものです。

厚生労働省の取り組み

厚生労働省の取り組み

「職場における腰痛予防対策指針」

厚生労働省では、2013年19年ぶりにこの指針の改定を行っています。

これは、高齢者介護などにより社会福祉施設をはじめとする保健衛生業において、腰痛の発生件数が急激に増加してきたことを受けてのことです。

しかも、この改定では、新たに医療・福祉分野にも適用対象を広げ、腰に負担の少ない介助方法などを加えています.。

特徴の一つに、腰痛のリスクアセスメントと労働安全衛生マネジメントの考え方が導入され、労働者の健康保持・増進対策を含めた腰痛対策の基本的な進め方を具体的に示しています。

まとめ

腰痛は、業務上の疾病の約6割を占め、これを読まれている多くの人が経験されたことがあると思います。今回は、そのなかでも発症率の多い保健衛生業から看護師に焦点を当て考えてみました。

看護師さんは、男性が増えてきたとはいえ、やはり女性が多く、男性のように骨や筋肉も発達していないので、日常的な看護・介護による身体へのストレスに対する十分な管理が必要と考えます。

筋力を鍛えることも大切でしょうが、環境衛生的に腰痛になりにくい介護方法や環境を提案する必要があると強く感じます。

POINT ・多くの看護師さんは、腰痛に悩まされている
・「腰痛は職業病だから・・・。」と身体に無理して休まず看護している。
・厚生労働省としても、この状況を問題視している
・環境衛生的な腰痛対策が必要である

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TAO

悠々自適な経済的自由人に憧れながらも、人として何ができるか模索の毎日です。修士課程で複雑系システムに魅了され頑張らない人生が理想です。

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