「ここ最近、腰痛がひどくてしんどいんです。
産後のせいかもしれないけど、約10Kgの乳児を毎日抱っこしたり、添い寝で寝相が悪いのが原因かも。
普通に立っているときも痛いけど、反る体勢が一番痛いんです。」
HANA
TAO
「筋膜の柔軟性の低下が原因として考えられますね。
病院で、レントゲンやMRIで問題ないかも確認したうえでですが・・・。」
筋膜の柔軟性の低下
筋膜とはあまり聞きなれないかもしれませんが、筋肉を包んでいる膜のことです。
筋肉は、ご存じの通り関節を動かしますが、筋膜は適度な柔軟性とともに身体に加わる緊張をコントロールしています。
腰痛は、この筋膜が硬くなって柔軟性がなくなった状態にあります。
腰を動かしたときに突っ張ったり、動かしにくいなと感じたいする場合は、筋膜の異常が考えられます。
どんな場合におこるのか?
特にスポーツや日常的に腰を酷使している人の場合や逆に生活の大半を座って過ごすディスクワークがメインの事務職の方などにも多いようです。
HANAKOさんの場合、日常の大半を赤ちゃんを抱っこしている状態と想像します。
赤ちゃんは約10Kgの重さもあるうえに、じっとしているわけではないので時にぐずったりすることを考えると、かなり腰にはストレスがかかっていると考えられます。
また、じっとしているとしているで、赤ちゃんの重さは動いているときよりも重く感じますし、何より落とさないように常に注意しているので、腰は常に緊張している状態であると考えます。
添い寝の場合も、自身が安楽な姿勢をとるというわけではなく、赤ちゃんが安らかに過ごせるように自身はどちらかというと無理な姿勢で添い寝をされているのではないでしょうか。
このような偏った日常生活が、筋膜の異常を起こす原因となります。
しかも、育児は2~3日で済むわけではなく、自身の体調に関係なく、毎日毎日数年間にわたって続くのですから、筋膜の異常を感じていても放置せざるを得ず、広範囲に痛みが波及する例もあります。
筋膜異常が骨盤の動きを制限する
長期間の筋膜の異常は、広範囲の痛みとなり骨盤の動きも制限します。
通常、骨盤の動きは身体の状態に応じて理想的な姿勢をとるように調整されているのですが、長期間の筋膜の異常は骨盤の動きを制限してしまいます。
そうなると、慢性腰痛の原因ともいわれる「仙腸関節」と呼ばれる骨盤の関節部分まで硬くなり、ゆがみや動きの制限が生じてしまうこともあります。
姿勢を支えるために働かないといけない腰背部の筋肉がうまく働かなくなってしまい、腰にかかる負荷を支えるための脊柱起立筋と呼ばれる筋肉やその近くの深層筋だけが常に働き続けることになり、腰の痛みを引き起こしてしまうのですね。
骨盤の動きまで制限されると負荷を逃がすことができなくなり、さらに痛みを引き起こすことになります。
治療方法
反り腰などによって腰に負担がかかる姿勢は、筋膜を柔らかくしてあげることが必要です。
筋膜を柔らかくすることで骨盤の動きもスムーズになり、理想的な姿勢を保つことができるようになります。
育児は、無理な姿勢を強いられるので、細胞自体が記憶してしまって慢性的な腰痛にならないように、正しい姿勢を意識的に行うことが大切です。
4つの骨盤改善ストレッチング
腰背筋(腰臀部後方)のストレッチング
- 両ひざを抱え、ゆっくりと息を止めないように注意しながら胸に近づける。
- お尻が少し浮く程度まで持ち上げたら、そのまま気持ちいい痛みを感じながら約20秒間とめる。
- 慣れてきたら、両ひざを右・左の一方向に倒して、同じように20秒間ストレッチングを続けます。
- 1~2、あるいは1~3までを3~5回行う。
股関節(前方)のストレッチング
- 四つ這いの姿勢から、右・左一側の膝を前に出し、対側の脚を膝を伸ばしながら後ろに引きます。
- 後ろに引いた股関節(脚の付け根)の前方がストレッチングされた状態で約20秒間とめる。
- 慣れてくると、股関節をさらに下に押し込むようにすることでより一層のストレッチ感を感じることができます。
- 一側を3~5回程度、ゆっくりと行ったら、反対側も同様に行いましょう。
- ただし、顎を挙げて腰が反らないように注意して行いましょう。
股関節(側方)のストレッチング
- 仰向けに大の字になるように手足を広げて寝ます。
- 次に、右手で曲げた左ひざを(逆の場合は、左手で右ひざを)軽く引き寄せた状態で約20秒間とめる。
- 一側を3~5回程度、ゆっくりと行ったら、反対側も同様に行いましょう。
- 息を止めないように注意しながら、ゆっくりと行いましょう。
腰背筋(腰臀部側方)のストレッチング
- 横寝の姿勢から、下側になる肘で体を支えます。
- この時、上側の股関節と膝関節は約90度に曲げ、下側の脚はまっすぐに伸ばします。
- 肘を支点に体を起こし、身体の横の部分がストレッチングされた状態で約20秒間とめる
- 一側を3~5回程度、ゆっくりと行ったら、反対側も同様に行いましょう。
- 息を止めないように注意しながら、ゆっくりと行いましょう。
POINT
・腰を後ろに反ると痛い場合は、筋膜の異常が考えられる。
・長期間の筋膜の異常は、骨盤の動きも制限する
・骨盤のストレッチングの方法を4つ紹介した
・長期間の筋膜の異常は、骨盤の動きも制限する
・骨盤のストレッチングの方法を4つ紹介した