正常でも骨盤は少し前傾していて、それは生理的前彎と呼ばれています。
では、生理的前彎による骨盤前傾やその他の骨盤前傾と反り腰の骨盤前傾は何が違うのでしょうか?
反り腰の骨盤前傾は、下胸が骨盤よりも前方に位置しています。
反り腰の骨盤前傾と他の骨盤前傾や生理的前彎による骨盤前傾との違い
反り腰の骨盤前傾は、横から見たときに、耳穴ー肩(肩峰)ー坐骨を結ぶ垂直な線に対して下胸(下位肋骨部)の位置が前方に位置しています。腰椎ヘルニア等に代表される他の腰痛でも骨盤前傾が見られます。この場合の骨盤前傾は、耳穴ー肩峰ー坐骨を結ぶ線に対して、全体的に耳穴ー肩峰が前に倒れた状態、あるいは耳穴ー肩峰は垂直になっているのですが、その垂線と本来の垂線(坐骨の直情の垂線)に対して前方に位置した状態になっています。
ちょうど、軍隊の胸を張った直立状態のようで腕を垂直に下したら、腕が体の前に位置して指先はつま先を指している状態です。
骨盤前傾による問題
腰痛です。痛みは肉体的にも精神的にも負担をかけます。痛みにより、脊髄を通る神経に影響を与えると、下肢の神経症状としてしびれや筋力低下が生じることが問題です。場所によっては、膀胱直腸障害を招いてしまうことがあります。
さらに、骨盤の前傾が長期間にわたって起きていることで、体幹の筋力が弱まりお腹がでてしまったり、逆にお尻を後ろに突き出した状態になり、いわゆる下腹部が出たぽっこりお腹にでっ尻といった、見た目にもあまり美しくない姿勢となります。
骨盤前傾の原因
理想的な姿勢がわからなくなってしまっている
子供のころからでっ尻とよばれ、お尻が大きいのは遺伝だと思っている、思い込もうとしている。自身で気づいていないこともありますが、気づこうとしていない、現実から目をそらそうとしている場合もあります。腹筋が弱い
骨盤と下位肋骨をつなぐ筋肉が弱くなっていることで、お腹が前に出ようとする力に対して抵抗することができない状態になっている。実際に、座っている状態で腹筋を使って骨盤と下位肋骨を近づけると骨盤は後傾方向に動き、反り腰も軽減しますよね。
股関節の前の筋肉が固く短縮している
骨盤と大腿骨を結ぶ筋肉が固く短縮することで、骨盤の前の方を引き下げるように働き、骨盤の前傾を引き起こしています。背筋が弱い
体幹をきちんと正常な位置に保つためには、上体が前方に傾いたり、偏位した状態にならないように体の後方から支える必要があります。反り腰の骨盤前傾の改善方法について
理想的な姿勢
ヒトの背骨は頸椎、胸椎、腰椎のそれぞれ7つ、12つ、5つの椎体と呼ばれる骨が連なって構成されています。この骨は、重力に逆らってヒトが2足歩行をとることで意外と重い頭(4~5kg)を支えるため、頸椎は前彎、胸椎は後彎、また腰椎では前彎した、軽いS字のカーブを描いた状態になっています。腰椎が前彎しているので当然骨盤もやや前傾した状態になっています。
そして、頭頂ー耳穴ー肩峰ー骨盤ー膝ー踝が垂直線上に揃った状態が理想的な立位状態です。
骨盤が過度に前傾や後傾すると座った状態ではわかりにくいのですが立った状態では、膝の位置や踵の位置と上半身の位置関係が明確になるので確認しやすくなります。
実際に、踵を壁に付けた状態で壁を背に自然に立ってみましょう。
- 上体が壁につかない方、つけようとすると後ろに倒れそうになる方
- 腰の部分に掌が2つ以上入る方
- 頭が壁につかない方
以上の方は、反り腰の可能性が高いですね。
自身がどのようなアライメントなのかを客観的に知る方法があります。
それは、スマホのセルフタイマー機能を使って、壁と平行に自身を横から撮って確認してみましょう。
骨盤前傾の改善方法
腹筋を鍛える
- ドローイン:息をゆっくり吐いてお腹の空気を絞り出す。インナーマッスルとかコアマッスルと呼ばれる筋肉を鍛えることができます。
- トランクカール:ドローインをしながら上体を少し起こす。筋力が弱いうちは学生の腹筋運動のように上体を全て起こし切らないことが大切です。
- レッグカール:ドローインをしながら、股関節・膝関節を90度に曲げた両下肢をゆっくり挙げます。このとき、腰が反らないようにドローインをしながら行いましょう。
股関節の前の筋肉を緩める
- 逆SLR:仰向けの状態で骨盤の下にクッションを入れます。間違っても腰の下に入れないでください。腰の下に入れると骨盤が反り骨盤前傾状態になります。両膝を両手で抱えて背中を丸くします。次いで、一側の下肢だけを伸ばしたままゆっくりと床に降ろしていきます。他側はしっかりと膝を抱えたまま行うことが大切です。すると、床に近いところで伸ばした脚が止まって股関節の前の部分が伸ばされている感じがすると思います。このままの状態で10~20秒keepします。その後、また脚を床から離してまた降ろします。これを10回ほど繰り返します。この時反動を使わないようにも注意しましょう。
背筋を鍛える
- 猫のポーズ:ヨガでも紹介されているようですが、骨盤の前後傾の運動協調性を向上させます。四つ這いの状態で床と両腕両太ももと体幹を使ってお腹の下に四角形を作ります。中には両腕が前にあったり後ろにあったりして台形になっている場合が多いので注意します。腕や太ももは肩関節や股関節から床に垂直に伸ばしている状態を作ります。その状態から、背中を丸めたり反らしたりしましょう。反り腰のヒトは背中を丸めるのが苦手なので鏡を見ながらすると思っているより自身ができているのかそうでないのかを確認しながらできます。
- ワンハンド・ワンニー:猫のポーズが慣れたら、四つ這いの状態で右手や右脚を床と平行になるように挙げてみましょう。さらに、右手と左脚を同時にあげ左手と左膝でバランスをとることができるようにしましょう。グラグラするのを止めようとすることで体幹のコアマッスルを鍛えることができます。
- エルボー・ニー:うつ伏せに寝た状態から、両肘をついて頭を上げた状態を作ります。うつ伏せでスマホを見ている状態ですね。その状態から、両前腕と両膝を床に付けたまま、腰を浮かし、横から見たときに肩と腰と膝が1直線になるようにしましょう。このときも、息を止めないようにすることが大切です。慣れてきたら、両前腕とつま先で体を支え、肩ー骨盤ー膝ー踝が1っ直線になるようにできると理想的です。
骨盤前傾を矯正するベルトについて
リンク
骨盤を矯正ベルトとはその固定が難しく、矯正力が強くなってしまうとそれに頼ってしまい、筋力が休んで結果的に弱くなってしまいます。つまり、ベルトへの依存が高すぎているのです。矯正下着と同じですね。やはり、自らの身体を活かして姿勢を治す方が長い目で考えてもいい選択だということです。
では、なぜ矯正ベルトを紹介するのか?
それは、一時的にでも正しい姿勢を確認して、自身の中にある間違った姿勢の記憶を修正するためです。姿勢は遺伝ではないのです。子供のころからだからとあきらめる必要はなく、その分時間はかかるけどちゃんとトレーニングすれば結果にコミットするのです。ただし、間違った姿勢を長期間とってきているので、身体が記憶してしまい、今さら正しい姿勢をとろうとしてお違和感を感じてしまうのです。そこで、矯正ベルトを使い、正しい姿勢を身体に覚えこませるためにベルトが必要になるのです。決してベルトを付けたら治るのではなく、ベルトを付けて正しい姿勢を意識しながら、股関節の短縮した筋をストレッチングして腹筋や背筋を鍛えることが必要なのです。忘れないでくださいね。POINT
・反り腰の骨盤前傾は、下胸が骨盤よりも前方に位置しています。
・原因は、股関節の筋が硬いことと体幹の筋力低下です。
・反り腰の骨盤前傾はストレッチングと筋力トレーニングです。
・矯正ベルトは、正しい姿勢を意識するために使用します。
・原因は、股関節の筋が硬いことと体幹の筋力低下です。
・反り腰の骨盤前傾はストレッチングと筋力トレーニングです。
・矯正ベルトは、正しい姿勢を意識するために使用します。